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2012年 03月 17日 ( 2 )

PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区

 SALU滞在第1日目(2/20)は、マッラー教授のご案内で、ローフリー丘陵北端のバイパス地区と、サッカル市街のラカンジョ・ダーロ遺跡を訪問しました。
 その詳細の前に、訪問地の位置、地理など。こちらにGoogle Mapを準備しましたのでよろしかったらどうぞ(別窓)。
 画面中央左側の緑の帯が、インダス川とインダス平原、右半分はタール砂漠(大インド砂漠)です。タール砂漠の西端、画面のほぼ中央に、インダス平原から枝分かれした細い緑の帯が見えると思いますが、これがナラ低地(Nara Valley)です。「ナラ」というのは、ずばり「川」とか「水路」という意味だそうですが...ここはかつてインダス川の支流(本流)が流れていた跡で、現在はインダス川に設けられたサッカル・バラッジ(取水堰)からひかれたナラ運河に灌漑されてどんどん農地が拓かれています。
 そしてナラ低地とインダス平原に挟まれた、タール砂漠の飛び地部分が、今回の主要な訪問・調査対象です。
 この飛び地の北半分、すこし色が濃く見える範囲がローフリー丘陵(Rohri Hills)。南北90km、東西30km、周囲から30~90mも高い台地上の地形です。
PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_921879.jpg

 中生代、恐竜の時代、インドはまだアジアとつながっておらず、現在のチベットとインドの間にはテチス海という大洋が広がっていました。その後、インドがアジアと衝突し、ヒマラヤが隆起して現在の地形になったわけですが...
 いまから4~5千万年の古第三紀始新世の頃、このあたりはまだ分離していたインドの北端の浅い海でした。そこに形成されたサンゴ礁が広大な石灰岩の地層を作りました。そしてその石灰岩層の一部が、ローフリー丘陵のあたりで隆起して地上に顔を出し、その後、地層の柔らかい部分が削られてテーブル状の台地(メサ)として残った、と言うわけなのです。
PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_92275.jpg

 そして世界中の中生代~古第三紀の石灰岩層の例(イギリスの白亜層とか、フランス南部のジュラ層とか)に漏れず、ここにも、良質なチャート(フリント)が石灰岩層中に含まれています。そして、そのチャートに目をつけた古代人が、100万年以上前の前期旧石器時代から4千年前頃のインダス文明期まで、この丘陵に集まって、原石を入手して石器を作り、多数の遺跡を残したのです。
 ここローフリー丘陵にチャート原石と遺跡があることは19世紀末から知られていましたが、本格的な調査は1990年代に入ってからです。SALUとイタリア隊の共同調査が2000年まで続けられ、丘陵西部のシャデー・シャヒード地区周辺で、旧石器時代の遺跡やインダス文明期の採掘跡が調査されました。
 そして2000年以降は、マッラー教授、ヴィーサル教授らが調査範囲を広げて、丘陵の北端から、南および東側のタール砂漠まで、多数の遺跡を発見し続けています。
PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_9362617.jpg
 これは、マッラー教授らが発見したうち、旧石器時代と中石器時代の遺跡の分布です(地図は、経産省とNASAの共同プロジェクトによるASTER-GDEMをもとにカシミール3Dで作成しました)。発券され、正確に位置を記録された遺跡は200地点以上ですが、遺物が散布していることは分かっていても位置を記録していない地点もまだ多数あり、何よりも踏査が及んでいない範囲が...
 話しは戻って、第1日目に訪問したバイパス地区は、このローフリー丘陵の北端にあります。縞模様の顕著な、とても良質なチャートが産出します。おそらく、この縞チャートは、インダス文明期にモヘンジョ・ダーロなどで使用されていた立方体の「おもり」(秤用)の素材となったもので、もしかしたら、この一体に、採掘・製作遺跡が残されているのかもしれません。
PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_947647.jpg
(こちらは、モヘンジョ・ダーロの遺跡に併設された博物館に展示されているチャート製の「おもり」)

 マッラー教授たちは、この一体で十数地点の石器製作遺跡(前期旧石器~インダス文明期)を記録しているのですが、1990年代末に、この丘陵を横断するかたちでバイパス道路が建設されるとともに、石灰岩の工業採掘が急ピッチで進み、遺跡が破壊の危機に瀕していることは、つねづね聞かされていました。
PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_9443835.jpg
(丘陵を横断するバイパス道路)

PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_9445985.jpg
(石灰岩の採石場)

 インダス文明期の採掘遺跡と違って、現代の採石場は、ダイナマイトで丘陵を吹き飛ばし、ブルドーザーでごっそりと石を攫っていくというものです。毎年のように、地形が改変されて記録される前の遺跡が失われ手いる可能性があるということで、今回のわれわれの訪問に際してのマッラー教授のリクエストのひとつが、この地区における遺跡破壊の現状を確認して、早急かつ効果的に遺跡を記録する方法を検討する、ということがありました。
 残念ながら日本とは異なり、こうした遺跡を保護する法制は整っておらず、州政府、および地元県の行政担当者は、大学からの訴えに耳を貸すことはなく、マッラー教授らが採石場の管理者に個人的に「このあたりだけは残しておいてくれ」とお願いするしかない状態だということです。
PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_9533333.jpg
 ということで、採石場の一角に車を停めて、本当に削り残したという一角をよじ登ります。
PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_9545099.jpg
 足場が本当に不安定で、足を滑らせたら最後、20mくらい石ころだらけの斜面を滑落しかねない細道を登って、遺跡が残されている丘陵頂部へ向かったのですが...
PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_956151.jpg
PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_9563022.jpg
 なんと?! 遺跡はすべて、ブルドーザーで削平されてしまった後でした...
 崖に沿ってブルドーザーが削り残したわずかな部分に、石器が残されています...
PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_10166.jpg
 前期旧石器時代のハンドアックスも落ちていました。ローフリー丘陵内は旧石器時代遺跡の宝庫ですが、ハンドアックスをともなう前期旧石器時代遺跡は決して多くありません。その中で、このバイパス地区は有望な場所だと考えられていただけに残念です。
PJAM2012#4 ローフリー・バイパス地区_a0186568_1012023.jpg
 マッラー教授の怒りと失望の大きさは計り知れません。

 といことで、いきなり暗雲立ち込める? 現地踏査でしたが...続きは次回
by asiansophia | 2012-03-17 20:00 | PJAM2012

石器文化研究会第255回例会のお知らせ

 石器文化研究会第255回例会のお知らせです。

 例会案内はこちら


石器文化研究会第255回例会

日 時 :3月24日(土)14:00~

会 場 :明治大学駿河台キャンパス猿楽町第2校舎3階 考古学実習室
     ※猿楽町第2校舎は御茶ノ水駅側(マロニエ通り側)から入ったところは4階です。
      考古学実習室へは階段を下りてください。


タイトル:「中部・関東地域における稜柱系細石刃石器群の技術的変異性と地域・集団的帰属に関する研究」

発表者:夏木大吾 (東京大学大学院) 


内容
 本発表では中部・関東地域の稜柱系細石刃石器群について取り扱う。
 主に関東地域に焦点を当てて、石材・技術運用の変異性について整理し、そのなかの技術的変異性が地域・集団的問題とどのように関連するか検討する。

(会場はこちらです)

by asiansophia | 2012-03-17 08:58 | 旧石器考古学/Palaeolithic